パラリンピックは終わりましたが、私は車椅子の障害者を連れて黒鯛釣りをした事があります。
経緯はこんな感じ。
ある日、会社の障害者雇用何とか制度で一人の障害者が入ってきた。年齢は私より4つ下、下半身不自由+人工透析。
私の下では無かったので、日次業務補佐をしていた。会社に来るのは不定期、体調が悪いと休むことも多かった。徐々に孤立して仕事が無くなってきた。朝遅れてきて夕方早めに帰るまで一日ボーッとしていることが多い。
見兼ねた私は私の下に付けることにした。月次業務、決算資料作成、予算データ入力なら週2・3回の出社でも対応できる。無理はせずゆっくりやれと言ってあった。
彼は簿記3級程度の知識、以前に居たシステム関連の会社でBASIC・COBOLを齧ったくらい。なかなか重い仕事は任せられなかった。その頃の私は新規システム構築中で忙しく助かった。
徐々に会話が増え、お昼は二人で釣るんで食べた。年齢が近いこともあり仲良くなった。
この頃、私の家に遊びに来ることもあった。家は母が重度の障害者だったのでバリアフリーになっている、空きの部屋もある。そして釣りに行こうと彼を誘った。本当ならサビキでアジでも釣れば良いんだろうけど黒鯛狙いにした。車椅子で2回釣行して1バラシで終わった。カイズでいいのに大型黒鯛が掛かってしまった。
その頃から社内他部署から批判が出る。彼に無理をさせてると。私は激怒したが、私の下から外れることに。
また彼はボーッとした一日を送っている。ここで彼にパソコンと表計算ソフトをこっそり教える。私が持っていた解説本を全て上げた。暇な時は練習問題をやってパソコンに触って仕事をしている振りをしなさいと。
その後、彼は体調悪化させ入院してしまう。
この間、組織の入替えがあり、東京から来たアホな女上司が気に入らなくて退職した。
彼は退院して会社に戻ってきたが、聞いた話によるとまたボーッとしているだけらしい。それでも障害者を雇用していると言えるのだろうか。
その10年後、横浜のとあるIT企業でバッタリと彼と出会う。元気そうだった。結婚もしていた。
数回会うことが出来て色々話していると、あの時の黒鯛の引きがまだ手に残っているという、とても楽しかったと言ってくれた。私は嬉しかった。
パソコンを覚えたお陰で今の企業で働いているとの事。その後は見かけずお会いする事は無かった。
家に遊びに来た時に連絡先は聞いていたが、もし入院していたらと思うと躊躇してしまった。彼が今も元気で居ることを祈っている。
車椅子の障害者と黒鯛釣りの思い出でした。長文失礼しました。